歩行分析のコツ セラピストが「歩き方」を見る理由

2025年11月24日 07:43

こんにちは。ほぐリッチです。
今回は、施術の精度を上げたいセラピストさんにぜひ身につけてほしい「歩行分析(歩き方の観察)」についてお話しします。

姿勢分析は多くの方が学びますが、「歩行」を見られるようになると、施術の質が一段階アップします。
なぜなら、歩行は“全身の連動性”が現れる、最も情報量の多い動作だからです。

「どこが硬いのか?」
「どこが弱いのか?」
「どこに負担がたまっているのか?」

これらが歩き方にそのまま出てきます。



歩行分析のコツ① 全体のリズム・左右差を見る

最初から関節や筋肉を細かく追う必要はありません。
まずは 歩行全体のクセ をざっくり観察します。
• 歩くスピードは自然か
• 左右の歩幅は同じか
• 上半身が左右に大きく揺れすぎていないか
• 足音に左右差がないか

これだけでも、その人の歩行の“パターン”が見えてきます。



歩行分析のコツ② 立脚期と遊脚期で分けて見る

歩行は大きく 立脚期(地面に足がついている時間) と、
遊脚期(足が空中にある時間) に分かれます。

立脚期で見るポイント
• 片足になったときの骨盤の安定
• 膝が内に倒れないか
• 足首が外に逃げていないか

遊脚期で見るポイント
• 脚がスムーズに振り出されるか
• つま先が引っかかりそうになっていないか
• 骨盤が大きく揺れすぎていないか

立脚期は“支える筋肉”、
遊脚期は“動かす筋肉”が見えてくるので、施術にも結びつきやすい視点です。



歩行分析のコツ③ 遅れている関節を探す

初心者が見落としがちなのが 「動作の遅れ」 です。
• 股関節の伸びが遅い → 歩幅が小さくなる
• 膝が遅れる → 膝が抜けたような歩き方になる
• 足首が遅れる → ペタペタ歩きが出る

「どこか一つが遅れる」と、代償が連鎖して全身の動きに表れます。



歩行分析のコツ④ 体幹の軸を見る

セラピストが見落としやすいのは“体幹”。
実は、歩行の質を決めるのは脚だけではありません。
• 頭のブレ
• 肩の左右差
• 腰の過度なひねり
• 骨盤の前後傾のタイミング

体幹の不安定さは、腰痛や股関節痛の原因にもつながります。



歩行分析のコツ⑤ 足裏の接地を見る

足裏は歩行の「答え合わせ」です。
• 外側に着きすぎる
• 内側に倒れ込みすぎる
• つま先が外を向く
• 蹴る力が弱い

こうした接地のクセには、必ず理由があります。
股関節、膝、足関節の状態が全部ここに現れるのです。



歩行分析のコツ⑥ 正面・横・後ろの3方向から見る

1方向だけでは、見える情報が非常に限られます。
• 正面:骨盤の左右差
• 側面:歩幅、前傾姿勢
• 後ろ:中殿筋の働き、かかとの軌道

3方向で初めて“全体像”がつかめます。



歩行分析は施術に直結するスキル

歩行の特徴は、施術のポイントと直結します。

例:
• 骨盤が落ちる → 中殿筋
• 膝が内に入る → 外側の張り・内転筋の弱さ
• 歩幅が小さい → 腸腰筋
• 足音が重い → 体幹の安定性不足

歩行は「体の使い方のクセ」そのもの。
これを読めるようになると、施術が驚くほど変わります。



まとめ

歩行分析は難しく感じるかもしれませんが、
実は “見る順番” と “見るポイント” を押さえるだけで一気に簡単になります。
1. リズム・左右差
2. 立脚期・遊脚期
3. 遅れを探す
4. 体幹の軸
5. 足裏の接地
6. 3方向から見る

この6つを意識するだけで、施術の精度は確実に上がります。

今後、ほぐリッチセラピストスクールでも、
歩行分析・姿勢分析・触診の実技を体系的に学べるカリキュラムを順次公開予定です。

記事一覧を見る